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さらなるボヤキ

さらなるボヤキ
再びペンをとります、。。。ていうかキーボードをたたきます。
最近よく耳にする様々な動物系のカフェですが、なんと東京に子犬カフェができたそうです!!子犬??そう子犬、パピーです。
可愛い子犬に癒されてみませんか?。。。ってやつです。ついにここまで来たか、と感じました。
長年にわたり動物介在プログラムの実践に関わるボラティアなどの教育をしてきた中で私が発信してきた「決して妥協してはいけない」いくつかの点の一つが幼齢犬猫の活用です。
これは別に私一人が主張していることではありません。
米国のペットパートナーズや国際学会のIAHAIOなどにおいても一歳未満の犬猫は活動に参加させるべきではない、という基本が打ち出されています。
動物介在の各種プログラムをまじめに研究・実施している人々の間ではこれはもはや常識となっているのです。
理由はいたって簡単です。
幼齢動物はストレスに弱く、体調管理が難しい、という当たり前のことに加え、排泄の習慣がまだしっかりと定着していない、じゃれたりする行動を展開させる際にまだ力の加減を学習していないなどの問題があります。
つまり幼齢の犬猫は活動のストレスに反応しやすい、と同時に排泄の管理ができぬゆえに受け入れ側に対して十分な衛生管理をすることができない、さらには爪を立てたり過剰な甘噛みをしたりと、訪問対象者を傷つけてしまう可能性まである、ということなのです。
動物、人間双方の福祉を守るためには未成熟の犬猫を触れ合いなどの活動に使うことはやめるべきである、ということです。
誰にでもわかるようなことであると思いませんか?
しかしここで登場したのが子犬カフェです。。。世の中って本当になんでもありなのですね。
またこのカフェで飼育される犬たちは当然すくすくと育っていくわけですから、子犬でなくなった時にはいったいどうするのでしょう?
経営者が考え出した解決策は、「大きくなったら立派なセラピー犬になります」、というものでした。
それらのセラピー犬がいったいどこに行くのかは怖くて聞けません。
セラピー犬を欲しがっている沢山の施設に請われていくのでしょうか?無償で?それともお高いお代金をいただくようにするのでしょうか?色々と勘繰りたくなりますよね。。
しかしカフェで沢山のお客様と触れ合うという体験を重ねれば立派なセラピー犬に育つという安易な考え方にも腹が立ちます。
犬は皆それぞれの性格を持って生まれてきます。
確かに育ち方にも大きな影響は受けますが、同じ場所で育っていてもすべての子犬が同じ性質の成犬になるわけではありません。
さらにははっきり決まった「群れ」、すなわち家族、と安定した生活をさせることができなければ子犬が不安定になる可能性も高くなってしまいます。
カフェには子犬が常に自らの礎とすることができるような「自分の人間」、つまりパパ、ママ、としての役割を果たす人はいないでしょう。
飼養管理はきちんとやろうと思えばカフェでもできるでしょうが、様々な人がかかわっていくという体制を避けることはできないでしょう。
自分の人間、自分のベッド、自分の好きな場所、自分だけを見ていてくれる決まった家族、自分の思い通りに過ぎていく毎日の日常、たまに見知らぬ人が訪れることもあれど大半の時間は自分と群れだけで過ごす自分の空間。
どんな「子供」にも必要な安定した育成環境、それを子犬カフェで提供することはできるのでしょうか?
また子犬のみならずフクロウ、ハリネズミ等々「ふれあい」、「癒し」などという言葉で宣伝されている動物自身にとっては地獄のような空間が人間界で流行るのはなぜでしょう?理解に苦しみます。
今世の中で一番必要とされているのは動物による癒しのはっきりとした定義です。
アニマルセラピーという安易な言葉に乗せられてただただ動物を触ればよい、という考えで様々なことが試みられるようになってしまったのは本当に残念です。
動物の扱い、動物福祉という概念などに関する基本的な理解を創業者が持たぬまま多くの事業が立ち上げられています。
しかし動物のことのみならず人間側のリスクも考えられていない事は実に恐ろしいことなのです。
動物の行動からくるリスク、感染症などのリスク等々動物との触れ合いの現場はこのような危険が沢山ある場所であることをもう少し関係者の方々には認識していただきたいのです。

リスク管理とは人間がやるものです。
その人間が足りない、ということも問題の一つかもしれません。
子犬カフェには幼体の行動管理とストレス管理の本当の専門職を置くのでしょうか?専門学校の新卒業生にはできません。
獣医師でもできる者とできない者がいるでしょう。
幼体の管理・及び健全な育成は訓練の専門家であれば誰でもできると言うものでもありません。
ハリネズミカフェの店員はハリネズミのストレス行動を識別する技量を持っているのでしょうか?
昨年ツキノワグマを飼育している一般の飼い主が管理をアルバイトに託していたという恐ろしい事件が起こりました。
そのアルバイトの方は命を落としてし合ったのです。
事情は少々異なるかもしれませんが、一般人がクマを飼う、その世話を知識もないアルバイトに任せる、そのアルバイトも何の疑問もなくそのような仕事を引き受ける。。
何かおかしいとは思いませんか?
結局このような人も、様々なカフェや触れ合い施設をつくってしまう人たちも、「どんな動物も簡単に飼える、ご飯を与え閉じ込めておけば問題も起こらない」と思っているのです。
さらには業者はそれらの動物を見せたり触らせたりすればお客が喜ぶ、と考えているのです。
そしてこれらがすべて癒しという言葉で語られてしまうのです。
アニマルセラピーの意味が実に飛躍している、無理くり広げられている、と感じているのは私だけでしょうか?
本当に勉強をしたい方々のために昨年立ち上げた一般社団アニマル・リテラシー総研から各種の啓蒙書を世に出そうと頑張っています。
娘と二人だけの製作スタッフが作成できる資料には限界があり、かつペーパー媒体では作業が追いつかぬためすべ電子書籍という形でしか出せていませんが少しでも正しい情報を発信しようとおもいます。
上記のテーマに関しては、動物介在の基本テキスト、活動をする人間(ボランティア)の資質を見極めるための専門書、そして施設内の動物飼育の基本テキストなどがすでにアップされています。癒しとは何か、もう一度考えてみたい方はぜひこのような資料に目を通してください!
(http://www.alri.jp)
AAI,動物介在介入とは何かの手短な定義を見てみたい方はこちらhttps://www.alri.jp/?pid=124743200
もっとまじめに基礎的なテキストを読みたい方はこちらhttps://www.alri.jp/?pid=129451787
施設にての動物飼育はどのようにするべきかを勉強したい方はこちらhttps://www.alri.jp/?pid=135330769
活動ボランティアの資質をどう評価するべきか、人間に求められることを学びたい方はこちらhttps://www.alri.jp/?pid=133655004
上記の情報をぜひ有効活用してください!



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日経新聞の記事

日経新聞の記事 2024年7月27日の日経朝刊の「医療・介護・健康」という紙面で動物介在療法などに関する大きな記事が掲載されていた。 そのタイトルが【「アニマルセラピー」に光明】であったがここですでに用語の間違いを指摘しなければならない。 アニマルセラピーという言葉はメディアなどがしばしば用いている言葉であるがこれは極めて不正確な表現である。 すでに国際学会などで取り上げられて30年以上になるが正確な表記はアニマル・アシステッド・セラピーとアニマル・アシステッド・アクティビティである。 前者の日本語訳は動物介在療法、そして後者が動物介在活動と訳されておりすでに何年もの間我が国においてもこの言葉が用いられている。 アニマルセラピーとはその両者をごちゃまぜにしたいわゆる一般社会、ひいてはメディアなどが「乱用」してきた表現である。 その意味は「動物は人を癒してくれる、気持ちを穏やかにさせてくれる、安心感を与えてくれる」等々非常にファジーなものとしてとらえられているのである。 日経の記事に話を戻すと「セラピー犬とファシリティドッグの違い」という表まで記載されているがこれもまた不正確極まりない。 参加させる犬がどのような名称で呼ばれていてもその犬がハンドラー(犬を連れていく人間)と現場においてどのようなことをするかによってそれが医療の一環、治療、であったりレクリエーション、すなわち「慰問」的なものであったりするのである。 日経の表によると「セラピー犬」は教育やレクリエーションを行う犬であり、ファシリティドッグは治療に参加する犬である、となっているがこれは明らかな間違いである。 さらに表によると活動場所もセラピー犬は高齢者施設などでファシリティドッグは医療機関となっている。 さらには「付き添い」と表記されているハンドラーは、セラピー犬はボランティアでありファシリティドッグは看護師などと書いてある。犬の育成に関しては、セラピー犬は「家庭でのしつけ」そしてファシリティドッグは「専門的な訓練」となっているのである。 どれも現場を知らない者たちの勘違いとしか言いようがない。そもそも動物介在療法と動物介在活動は犬の種類で分けるのではなく現場でどのようなことをするかによって分けられているのである。 動物介在療法とは特定の患者(訪問対象者)の治療の一環としてその患者の診断、治療目標等々が医療...

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