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ボヤキマックス

ボヤキマックス
皆さんはbanger boatsという言葉を聞いたことがありますか?これはイルカの追い込み漁の際に金属音でイルカを囲み入り江に押しこめていくための音の壁を作る漁船団のことです。
金属をたたいて音を出し水中に壁を作りイルカが逃げられないようにすることによって大量の個体を捕獲することができるのです。
同じ金属音がイルカのトレーナーたちによって使用されているのをご存じですか?
トレーナーの腰のあたりに携帯されている道具に目を向けてみて下さい。
金属の棒が目につくことがありますよ。
えっ??捕まえる時に使われる恐怖の音をトレーニングにも??と思ってしまいますよね。
そうなんです。
もういいかげんにイルカのショーを「楽しむ」ことをやめませんか?水族館関係者は常に「日本人はイルカが好きなんだ」という主張を繰り返してきました。
皆さん、本当にそうなんですか?野生のイルカは泳ぎ上手、潜り上手です。
100メートルくらいは常識。
なんと種類によっては600メートルほどの深さまで潜ることができるのです!
イルカショーに使われるプールはその100分の1程度の水深。。。。ため息が出ませんか?
このような能力を持った動物の欲求を満たすだけの環境を人間は本当に与えられるのでしょうか?
私が尊敬する今は亡きある生物学者の先生が生前話してくださった忘れられない出来事があります。
彼は以前伊豆諸島での地質調査のために崖下で潜っていたら背後に目線を感じたので振り返ってみたそうです。
そこには数メートルの距離から彼の行動をじっと観察する一頭のイルカがいました。
数日間の調査の期間中度々そのイルカが彼を「観察しに」やってきたそうです。
同じ個体に間違いないと彼は言っておられました。
そして。。。。驚くことに調査の最終日にまたそのイルカがやってきたのですが、その時には何と子ども連れであったそうです!「見てごらん、あれが人間だよ」と言われている気がした、と先生は笑いながら言っておられました。
そうだよな~。。。これが共存だよな~。。。と心底思いました。
今年の春先に我が家の庭にある桜の大木からコンコンということが聞こえました。
見上げてみるとなんと太い幹に一羽のアオゲラが止まっていました!一生懸命に巣穴作りに励んでいたのです。
それから毎日犬たちを庭に出す度に桜の木をつつく音に耳を傾け、木の下に溜まっていく木屑に視線を向けながら過ごしました。
自然な鳥の行動にすっかり魅せられてしまったのです。
このような感動は動物園では中々味わえません。
動物が自然の中でのびのびと本来の行動を展開させる姿は本当に感動的です。
でも狭いプールの中で輪くぐりをしたり人間を背びれにつかまらせたりするイルカの姿は自然なものではありません。
それを子どもたちに繰り返し見せることはミッキーマウスが本当のネズミであると教えることに等しいのではないでしょうか。
世界的に有名な米国のサーカス団が近年幕を閉じました。
それは「動物のショー」というものに対する周囲の考え方が徐々に変化をしていった結果であると言えます。
クマが踊る、ゾウが立ち上がる、トラが火の輪くぐりをする。。。。今までそれらを見て喜んでいた人々が少しずつそのようなことを疑問視するようになっていったのです。
多くの方々はこれが「動物福祉」に対する意識の発展であるととらえておられるようですが私は実はそれだけではないと考えています。
チンパンジーが人間の服を着せられ面白おかしい行動を展開させると笑い、喜ぶ人もいるでしょう。
しかし私の周囲にはそれを「悲しい」と表現する人々がいます。
それは動物の尊厳が汚されているからなのです。
野生動物の調教には昔と異なり最近では「陽性強化法」などと言われている所謂過酷な強制的手段や暴力的手法を用いらないやり方が多く導入されているようです。(前述した金属の棒の使い方は疑問視するべきですが。。)
しかし優しい方法で訓練をしているから良い、ということではないと思いませんか?
人間と同じように動物にも尊厳、dignity、があるのです。
優しく扱っている、給餌給水は怠っていない、適切な環境で飼育をしている等々福祉に配慮をしていると言う様々な点を強調するだけですべてを良しとするとができるのでしょうか?
動物を扱う専門家と称する人々がそのような考えを持っているのであるとしたら何か切なくなってきませんか。。。。
以前米国アリゾナ州のソノラ砂漠博物館を訪れたことがあります。
ここは砂漠の動植物、さらには鉱物まで展示している極めて教育的な「動物園」です。
生息地環境とかけ離れた場所で動物などの展示を無理に行う、例えば最適温度がマイナス40度から上限10度というホッキョクグマに日本の真夏日を体験させてしまう展示などはもう時代遅れではないかという考え方が最近では浮上してきています。
ソノラはまさに生き物に合った環境を提供できる範囲で展示をすることに努力してきた施設です。
何十年も前の開設当時はまだまだ旧式の展示が数多くみられたところですが今ではまさに砂漠博物館という名にふさわしい素晴らしい施設です。
そこで見た猛禽類のショーに感激しました。
通常のバードショーのようにトレーナーからターゲットに行ったり来たりというスタートなのですが途中で鳥が見えなくなるほどの飛翔を見せるのです。
上空高く上り豆粒のようになった鳥を見上げてトレーナーは
「砂漠の過酷な環境でなるべく多くの獲物を獲るためには高く上ることも重要。また本能的に砂漠ではできる限りエネルギーを温存することも大切だと分かっているのです。おそらく今あの子は上昇気流にうまく乗れたのでしょう。そのようなチャンスをつかむと本当に見えなくなるようなところまで行きますよ!」
と何事もなかったかのように説明を続けました。
またかなり遠くの山の方まで行ってしまった鳥を見ながら、
「私には見えませんがあの山の方に同じような鳥がいるのでしょうね。かなりこの子たちは縄張り意識が強いので偵察に行ったのでしょう」
とあっさりと言っていました。
「大丈夫、過酷な砂漠で確実に餌と安全が確保できるねぐらがある場所はそう簡単に見捨てません。戻ってきますよ。」
と自信ありげに語っていました。
確かにしばらくすると鳥は戻ってきました。
すごいな~。。。でも子どもたちに本当の自然教育をするのであれば動物のショーはかくあるべきと思いませんか?
最近海外からの旅行者の方が沖縄ワールドという観光施設を訪れた際にヘビやそのほかの動物たちの扱いがひどかったということをある国際団体に報告しています。
行かなければよかった、見たくはなかった。。。と言うような感想を述べていました。
狭いワイヤーケージの中で行ったり来たりの常同行動を展開させるマングースを見た、ワイヤーケージに50匹くらいの小型のカメが入れられていて、重なり合っていた、ガラス張りの囲いに入れられたコウモリたちが直射日光にさらされていた、大型のカメが2匹オープンスペースに置かれていてだれでも自由に触れるようになっていた、触れ合いエリアには小さなトカゲ、コウモリ、ヘビが置かれていたがよく見るとヘビの口の周りに何かが巻かれていた(咬みつかいないように??)等々の報告があったのです。
あ~あまたか。。。と思ってしまいました。
同施設のサイトを覗いてみたら白ヘビを首に巻いて写真を撮れます!などとアップビートな宣伝もありました。
動物たちの扱いもさることながら、コロナが野生動物由来だと誰も聞いてないのかヨッ!と叫びたくなりました。
でもこれも全て観光客が喜ぶからですよね。
イルカのショーと同じ原理です。
消費者がいるからこそ商売も成り立つ、というわけです。
色々と沖縄の観光サイトで訪問者たちの感想を探ってみましたがその内容には驚かされるものばかリ(わかってはいましたがね。。)。
「ヘビを首に巻いたり、ベッドで横になったりして撮った写真に子どもたちが大喜び」、「大蛇を首に巻いたり、添い寝ができるので面白い」、「ハブとマングースを戦わせるショーは動物虐待だからもうやらないんだって。。」再びあ~あ。
これ以上書いていると頭が爆発しそうなのでもうやめます!!
このめちゃくちゃな状況をどのように変えていく事ができるのでしょうか?
誰か教えてください!!
ちなみにしながわ水族館が令和9年度に向けてリニューアルをすると発表をした際にそれに伴いイルカショーをやめることにしたと宣言しました。
何とイルカのショーと展示をリニューアル後はしない、ということなのです!
日本初の英断!!
アクリル製の設備の老朽化、他の大規模なショーが増えた、追い込み漁で捕獲されたイルカの購入に関する問題等々その理由は色々とあるようですが積極的なこの動きは本当にすごい。
私が推奨する九州の大牟田市動物園がゾウの展示を終了した、ホワイトタイガーは一代限りにするなどと堂々と発信していることには以前から感銘を受けていましたが、水族館のこの動きは初めてであり少しずつ変化は訪れていると考えてもよいのかな、と思ったりもします。
しかしまだまだ道のりは険しいと感じています。
まずは専門家を目指す青少年の教育からでしょうか。。。
私が20数年関わっている国際ペットワールド専門学校の一年生には今年も展示施設の飼育員を目指したいと語る学生が沢山います。
彼らに何をどのように伝えたらよいのか日々悩み続けながら進んでいくしかないのでしょうね。

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日経新聞の記事

日経新聞の記事 2024年7月27日の日経朝刊の「医療・介護・健康」という紙面で動物介在療法などに関する大きな記事が掲載されていた。 そのタイトルが【「アニマルセラピー」に光明】であったがここですでに用語の間違いを指摘しなければならない。 アニマルセラピーという言葉はメディアなどがしばしば用いている言葉であるがこれは極めて不正確な表現である。 すでに国際学会などで取り上げられて30年以上になるが正確な表記はアニマル・アシステッド・セラピーとアニマル・アシステッド・アクティビティである。 前者の日本語訳は動物介在療法、そして後者が動物介在活動と訳されておりすでに何年もの間我が国においてもこの言葉が用いられている。 アニマルセラピーとはその両者をごちゃまぜにしたいわゆる一般社会、ひいてはメディアなどが「乱用」してきた表現である。 その意味は「動物は人を癒してくれる、気持ちを穏やかにさせてくれる、安心感を与えてくれる」等々非常にファジーなものとしてとらえられているのである。 日経の記事に話を戻すと「セラピー犬とファシリティドッグの違い」という表まで記載されているがこれもまた不正確極まりない。 参加させる犬がどのような名称で呼ばれていてもその犬がハンドラー(犬を連れていく人間)と現場においてどのようなことをするかによってそれが医療の一環、治療、であったりレクリエーション、すなわち「慰問」的なものであったりするのである。 日経の表によると「セラピー犬」は教育やレクリエーションを行う犬であり、ファシリティドッグは治療に参加する犬である、となっているがこれは明らかな間違いである。 さらに表によると活動場所もセラピー犬は高齢者施設などでファシリティドッグは医療機関となっている。 さらには「付き添い」と表記されているハンドラーは、セラピー犬はボランティアでありファシリティドッグは看護師などと書いてある。犬の育成に関しては、セラピー犬は「家庭でのしつけ」そしてファシリティドッグは「専門的な訓練」となっているのである。 どれも現場を知らない者たちの勘違いとしか言いようがない。そもそも動物介在療法と動物介在活動は犬の種類で分けるのではなく現場でどのようなことをするかによって分けられているのである。 動物介在療法とは特定の患者(訪問対象者)の治療の一環としてその患者の診断、治療目標等々が医療...

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